インデックス投資界隈ではおなじみの日経新聞社の田村正之さんが、先日新著「人生100年時代の年金戦略」を発売されました。
田村さんが書かれているように、年金は情報格差が大きく、知識を持っているかどうかで大きく差が付くものですね。
公的年金活用のための情報が広範にわたって網羅されている本書は、正直難しくて私は1回読んだくらいでは理解する事は出来ませんでしたが、辞書的に手元において活用したい一冊でした。
私が感じた本書のポイントを以下にまとめておきます。
年金は「終身」でもらえる人生100年時代の支え
人生の3大リスクとして、以下のような事があげられますが、
- 何歳まで生きるかわからない ⇒老齢年金
- 怪我や病気で働けなくなるかもしれない ⇒障害年金
- 一家の大黒柱が亡くなるかもしれない ⇒遺族年金
公的年金はこれらの人生のリスクに対する「保険」として機能するありがたい仕組みです。
本書では1章を使って、まずは年金制度について正しく理解することから解説されています。
年金額は自分の選択や働き方で大きく変わる
現在の年金は原則65歳受給開始ですが、受給開始時期は60歳から70歳の間で自由に選べます。
1ヶ月繰り下げることで0.7%増額されますが、5年繰り下げて70歳受給開始とすると42%も増えた金額を一生受給する事ができます。
長生きに対する保険としては、トンチン保険が最近注目されていますが、手数料を多く取られる民間保険よりは、公的年金の繰り下げを優先するのが合理的となります。
また、繰り下げ期間中は年金をもらえませんが、70歳まで繰り下げた場合、11年11ヶ月で(つまり81歳まで生きれば)65歳で受給開始した場合よりお得になるということです。実際、平均余命で考えると得をする確率の方が高いのですね。
2章、3章には人生を最後まで楽しむために、手元で積立てている金融資産と公的年金をどう組み合わせていくか、出口戦略を考えるヒントが満載されています。
障害年金や遺族年金についても仕組みを知って活用しよう
公的年金というと、老齢年金に目が行きますが、公的年金は人生のリスクに備える総合保険であり、障害年金や遺族年金についても、正しく仕組みを知って活用するべきです。
例えば、障害年金は外的なケガだけでなく、うつ病でも生活や仕事が制限される状態になれば請求することができます。
初診日に厚生年金に加入していれば障害厚生年金が基礎年金に大幅に上乗せされるので「会社員時代に傷病が始まったのなら、必ず退社前に診察を受けておくべき」なんて職場や学校じゃ誰も教えてくれないよね。
全ての世代の人へ、年金に対する知識・情報は大切です
少子高齢化が進み年金が破綻するんじゃないかという不安が煽られている風潮ですが、減額はされてもゼロにはならないだろうと思っています。
まずは、年金の仕組みを正しく知るところからでしょうか。
本書は公的年金について、まるで辞書のように詳細に解説されており、自分が年金について部分的にしか知らないという事がよく分かりました。
まさに年金受給が目の前に迫っており、出口戦略が重要となっている世代はもちろん、iDeCoや企業型DCを活用してこれから老後に備えようという若い世代も、是非一度本書を手にとってみると良いでしょう。
年金に対する知識や情報を持っているかどうかで、受給額は大きく変わってきますよ。
目次
- 序章 「年金をいくらもらえるか」は自分の選択次第
- 第1章 年金は人生のリスクに備えるお得な総合保険
- 第2章 公的年金、フル活用のための実践編
- 第3章 運用で確実に増やす-個人型・企業型DC徹底活用
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