楽天証券の積立ランキングで上位にいる楽天・全米株式インデックスファンド(通称:楽天VTI)は、2017年9月29日に新規設定されたばかりですが、1ヵ月経たずに純資産額は9.65億円まで増加しており(楽天VTは5.45億円)、最近の米国株人気の高さが良く判ります。
投信ブロガーが選ぶ!Fund of the Year 2018では第4位に入賞しています。
バンガード社の人気海外ETF(VTI)の投資信託版という事で、米国株を丸ごと買ってしまう楽天・全米株式インデックス・ファンドの特徴を見てみましょう。
投資対象は?
楽天・全米株式インデックス・ファンドは楽天投信投資顧問が運用するインデックスファンドです。
米国株式市場の動きをとらえることを目指して、CRSP USトータル・マーケット・インデックス(円換算ベース)に連動する投資成果を目標として運用を行います。
当ファンドがマザーファンドを通じて購入する投資対象は、海外ETFとしても人気のバンガード・トータルストック・マーケットETF(VTI)です。
海外ETFの売買は為替取引や、指値発注、分配金の再投資など手間がかかるので、積立てもし易い投資信託として仕立てた商品です。
CRSP USトータル・マーケット・インデックスの詳細
米国株の指標としてはS&P500(大型・中型株)が代表的ですが、当ファンドが採用するCRSP USトータル・マーケット・インデックスは中型・小型株も含み米国株式市場の投資可能な株式をほぼ100%カバーしています。
参照CRSP U.S. Total Market Index
上位組入銘柄(組入比率)
- APPLE INC COM(AAPL)2.8%
- MICROSOFT CORP COM(MSFT) 2.2%
- FACEBOOK INC(FB) 1.6%
- AMAZON COM INC COM(AMZN)1.5%
- JOHNSON & JOHNSON COM(JNJ)1.3%
- EXXON MOBIL CORP COM(XOM) 1.3%
- JPMORGAN CHASE & CO COM(JPM) 1.3%
- ALPHABET INC CL A(GOOGL)1.1%
- ALPHABET INC CL C(GOOG) 1.1%
- BANK OF AMERICA CORP COM(BAC)1.0%
※2017年9月末時点
上位組入銘柄を見ると、アップル、マイクロソフト、フェイスブック、アマゾン、グーグルと「FANG・MANT」と呼ばれる人気銘柄が並んでいます。
これはS&P500指数とほとんど変わらないのですが、小型株まで含む点がCRSP USトータル・マーケット・インデックスの特徴です。
メリット・デメリット
バンガード・トータルストック・マーケットETF(VTI)を直接購入した場合、管理費用(Expense ratio)は年0.04%です。
楽天・全米株式インデックス・ファンドではVTIの管理費用に加えて、信託報酬として年0.1296%(税抜0.12%)が必要となり、合計で年0.1696%(税込)となります。さらに、事前にはわからないその他コスト(為替コスト、保管費用、監査費用等)がかかってきますが、これは最初の決算を見なければどの程度になるか判りません。
低コスト米国株インデックスファンドとして先発の「iFree S&P500インデックス」の信託報酬が年率0.243%(税込)なので、楽天・全米株式インデックス・ファンドは更に低コストに米国株に投資できると考えられます。
VTIに直接投資するのがランニングコストとしては1番低コストなのですが、先にも記載したように海外ETFは売買や分配金の管理が非常に面倒です(VTIは四半期ごとに分配金が出ます)。
私は海外ETFの管理が面倒になり、また、歳をとってからはなおさらこんな取引はやってられないと、海外ETFを全売却して投資信託のみにリスク資産を整理した経緯がありますので、VTIよりは楽天VTIが良いと考えています。
あるいは少々コストを払っても、Wealth Naviの様な海外ETFを利用した自動取引口座を利用するか。
米国株に投資できるその他のファンド
楽天・全米株式インデックス・ファンドの他に、米国株全体に投資できるインデックスファンドをつみたてNISAの対象銘柄から探した場合、先に紹介した「iFree S&P500インデックス」か、ステート・ストリート社(SSGA)の「米国株式インデックス・ファンド」しかありません(これらはいずれもS&P500指数を投資対象とする)。
その他の投資手段としては「i-mizuho米国株式インデックス」のほか国内ETFが3銘柄といったところでしょうか。
- iFree S&P500インデックス(大和投資信託)
- 米国株式インデックス・ファンド(SSGA)
- i-mizuho米国株式インデックス(ブラックロック)
- 上場インデックスファンド米国株式(1547)(日興AM)
- SPDR® S&P 500 ETF(1557)(SSGA)
- iシェアーズ S&P 500 米国株 ETF(1655)(ブラックロック)
iFree S&P500インデックス
S&P500指数を投資対象とする、2017年8月31日設定の新設ファンド。実質コストがどの程度になるかは現時点では不明ですが、信託報酬年率0.243%(税込)という低コストで登場した事で注目されています。現在の純資産額は20.16億円となっており、資金流入は順調です。
先月末に初の月次報告書が提示されていますが、9月度の騰落率はベンチマーク+4.3%に対して+4.0%と劣後しています。
今回、マザーファンドも新設されましたので、設定当初は上下にブレるのは仕方がない状態でしょう。先物も併用(11.7%)しながら頑張っているようです。
米国株式インデックス・ファンド
ステート・ストリート社はS&P500指数に連動する海外ETF スパイダー(SPY)の運用会社として有名ですが、日本国内では苦戦しているようです。
2017年9月29日設定の新設ファンド。
信託報酬年率0.486%(税込)となっており、特に目を引くものがありません。
i-mizuho米国株式インデックス
ブラックロック社は海外ETFで有名なiSharesシリーズを運用している企業です。
2013年9月に設定されたファンドですが不人気で、純資産額は22億円にとどまっています。
当ファンドの信託報酬は年率0.6156%(税込)とメジャーな指数のインデックスファンドとしてはかなり高く、組み入れ銘柄はiShares Core S&P 500 ETF(IVV)なので、実質的にはさらにIVVの経費率0.04%が乗った0.619%程度となっています。
上場インデックスファンド米国株式(1547)
国内上場ETF。
実質的な信託報酬は年率 0.1728%(税抜 0.16%)程度となっていますが、出来高が3,000口前後と少なくあえて利用するかは難しいところ。
SPDR® S&P 500 ETF(1557)
世界最大規模の有名海外ETFのSPYが日本国内にも重複上場したETF。
総経費率0.0945%(年率)と非常に低いが、なにしろ出来高が少なすぎます(1547よりも少ない1,000~2,000口程度)。
海外ETFを直接購入した方が扱いやすいのではないでしょうか。
iシェアーズ S&P 500 米国株 ETF(1655)
こちらは有名海外ETF IVVに投資する国内ETF。
信託報酬年0.162%(税込)。同じく出来高が少なすぎる(1,000口を割る時もある)。
まとめ
こうしてまとめてみると、米国株式に投資するインデックスファンドはこれまであまり良い物がなく、楽天・全米株式インデックス・ファンドが非常に注目されている理由が良く判ります。
次点としてiFree S&P500インデックスでしょうか。その他のファンドは無視してこの2択からの選択で良いでしょう。
どちらも新設ファンドなので、その他の経費も含んだ実質コストがどの程度増えるか気になるところですが、バンガードブランドや小型株も含むという点で私は楽天・全米株式インデックス・ファンドが好みです(楽天投信投資顧問の運用の腕前は未知数ですが)。
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