アセットアロケーション(資産配分)は運用成果の8割以上を決めると言われる程重要なもので、先日のインデックス投資ナイトでもお題として盛り上がった内容ですが、結局のところ答えとなる資産配分を示して「こうすればいい!」と決定できるものではなく、各個人で納得がいくよう考えなければならないものとなっています。
少し古いですが、個人投資家の運用方法として山崎元氏が提唱するアセットアロケーションの方法論について記事がありました。
山崎 元 ホンネの投資教室「投資主体別、アセットアロケーションの方法論(下)」
個人の長期の資産形成・資産運用を考えると、以下の2つの方法が参考になると思います。
運用好きの個人:ミーンバリアンス法(MV法)
個人投資家の中でも、自分で株式のポートフォリオを(注:数銘柄でも立派な「ポートフォリオ」だ!)運用しているような方には、一般的な年金基金が使っているような、期待リターンと、標準偏差・相関係数で表されたリスクを使ってポートフォリオを作るような「M-V法」(平均・分散アプローチ)を使いこなすことをお勧めしたい。
メリットとしては、(1)自分のポートフォリオの筋道だった改善が可能になることと、(2)他の市場参加者、特に機関投資家の発想法や行動様式が分かるようになることの二点。
少し前に投資ブロガーを中心に流行ったのはこの方法でしょうか。
今ほどインデックス投資が一般となっていない頃、当ブログでも「ネットで入手可能な、期待リターンとリスク、相関係数データ」といったマニアックな情報が人気を集め、有効フロンティア(同じリターンでもっともリスクが小さい配分)の計算など、いかにも理論的な考え方が流行ったものです。
おそらく、仕事で運用をしなければいけない場合は、こういったアセットアロケーションの根拠となる何かが必要になるのでしょう。
私のアセットアセットアロケーションも、もともとはこのミーンバリアンス法がベースとなっていますが、実際はあんまり厳密にやっても意味が無い(気休め程度のもの)だろうなというのが最近の正直な気持ちです。
マニアックな方を除き、一般にはオススメしません。
運用が仕事でも趣味でもない一般個人:二段階法
運用に時間を掛け、気を取られることなく、あまり手間を掛けずに安心して運用したい、という一般投資家には、
【第一段階】自分が取ることができるリスクの上限を決めて、その範囲の中で「リスク資産」の額を決めて、
【第二段階】リスク資産の組合せについてはベストに近い無難なものを一つ知っておいてこれに投資する
といった二段階のアセットアロケーション法をお勧めしたい。
この方法だと、期待リターンとリスクのM-V法から見て最適な組合せを達成することを放棄することになるが、過大なリスクを取らないのでお金の運用が生活設計上無難になることと、実施が極めて簡単であることの二つのメリットがある。
普通はこちらの方法で十分でしょう。
水瀬さんと山崎元氏の共著書「全面改訂 ほったらかし投資術」の中で示された一例は「国内株式」と「外国株式」を5:5で持つというもの。
バランスファンドによるアセットアロケーションもこのカテゴリーに入ると思います(無難なリスク・リターンの一例として)。
実際の所、この様にえいやっと配分を決めてしまえば十分でしょう。
ただ、問題はそのアセットアロケーションにどこまで納得感を持てるか?暴落が起こって想像以上に資産が減ってもそれは自己責任です。
誰々がこの配分が良いと言ったから・・・ではなくて、自分のものとして消化するには、やっぱり各アセットクラスの期待リターンとリスクの関係がどうなっているのかを理解する必要があるように思います。
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