資産配分(アセットアロケーション)を考える際に、各資産クラスの「期待リターン」と「リスク(ばらつき)」がどの程度か?を知っておくことが重要です。
ウェルスナビのような資産運用サービスでは、リスクが同じで最も期待リターンが高い資産配分(最適ポートフォリオ)を提案してくれるのですが、実は個人でもエクセルの「ソルバー」というアドイン機能でも簡単に最適化の計算が出来ます。
ちおなみにリーマン・ショックを含まない古いデータでは結果がかなり異なります。2020年2月現在、公表されている「期待リターン」と「リスク」のデータについて、最新の情報にまとめを更新しました。
期待リターンとリスクの考え方
期待リターンとリスク、相関係数のデータは、どの期間を取るのか、あるいは何を指標として集計するか(例えば外国株式は先進国だけ?新興国も含むのか?)で変わってきます。
一般には、例えば外国株式の期待リターンは大体年率5%くらいと言われているんだな、で、リスク(標準偏差)が20%もあるから、良いときも悪いときもあり、プラスマイナス40%(標準偏差✕2に95%の確率で収まる)くらいバラつくのが、常識的な値なんだなという理解ができれば十分だと思います。
ただ、もう少し踏み込んで、資産配分(アセットアロケーション)の最適化に興味をもったら、以下の山崎元氏のコラムを参考に、自分でも一度計算してみてください。
GPIFデータ
「期待リターン」と「リスク」のデータとしてまず有用なのが、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)のものです。
2014年10月に基本ポートフォリオを変更しており、リーマン・ショック後のデータが含まれるようになっています。
参照「年金積立金管理運用独立行政法人の中期計画(基本ポートフォリオ)の変更 (2014年10月30日)」
GPIF 2014年 (平成26年) データ
期待リターン | リスク | |
国内債券 | 2.0% | 4.7% |
国内株式 | 5.2% | 25.1% |
外国債券 | 3.5% | 12.6% |
外国株式 | 6.2% | 27.3% |
短期資金 | 1.0% | 0.5% |
相関係数
国内債券 | 国内株式 | 外国債券 | 外国株式 | 短期資金 | |
国内債券 | 1.00 | ||||
国内株式 | -0.16 | 1.00 | |||
外国債券 | 0.25 | 0.04 | 1.00 | ||
外国株式 | 0.09 | 0.64 | 0.57 | 1.00 | |
短期資金 | 0.12 | -0.10 | -0.15 | -0.14 | 1.00 |
期待リターンは経済中位ケースと市場基準ケースの2つの値が示されていますが、上記ではより厳しい市場基準ケースを記載しました。なお、名目賃金上昇率を加味した名目リターンとなっています。
KKR(国家公務員共済組合連合会)データ
KKR(国家公務員共済組合連合会)は国家公務員の年金に関する業務を行っている機関です。
参照「基本ポートフォリオの見直しについて 附属資料(H25.10.18)」
KKR 2013年 (平成25年) データ
期待リターン | リスク | |
国内債券 | 1.0% | 2.0% |
国内株式 | 4.2% | 18.0% |
外国債券 | 1.8% | 10.0% |
外国株式 | 5.0% | 20.0% |
短期資金 | 0.1% | 0.1% |
相関係数
国内債券 | 国内株式 | 外国債券 | 外国株式 | 短期資金 | |
国内債券 | 1.0 | ||||
国内株式 | 0.0 | 1.0 | |||
外国債券 | 0.2 | 0.3 | 1.0 | ||
外国株式 | 0.0 | 0.7 | 0.5 | 1.00 | |
短期資金 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 1.0 |
ニッセイ基礎研究所データ
ニッセイ基礎研究所
ニッセイ基礎研REPORT2011年10月号より。データ提供元はイボットソン。
参照「下方リスクを重視した年金資産配分」
ニッセイ基礎研究所 (2001年~2011年)データ
期待リターン | リスク | |
国内債券 | 1.50% | 2.01% |
国内株式 | 5.00% | 18.14% |
外国債券 | 2.50% | 9.66% |
外国株式 | 5.00% | 20.46% |
相関係数
国内債券 | 国内株式 | 外国債券 | 外国株式 | 短期資金 | |
国内債券 | 1.00 | ||||
国内株式 | -0.31 | 1.00 | |||
外国債券 | 0.06 | 0.33 | 1.00 | ||
外国株式 | -0.16 | 0.69 | 0.53 | 1.00 |
この記事の感想を下のコメント欄でお寄せください
伝統的4資産だけでなく、大型株と小型株・為替ヘッジありとなし・国内外REIT・ハイイールド債・コモディティなどのデータ(相関係数・リスク等)も無料で手に入るよ
PERMALINK: https://www.lay-up.net/archives/blog-entry-1065-1407120827.html
相互リンクブログの「投信で手堅くlay-up!」さんが、「ネットで入手可能な、期待リターンとリスク、相関係数データ(2014年7月)」で、国内外の…