私は良く知らない方なのですが、米国の有名な投資家向け雑誌編集長Knight Kiplinger氏が、投資の原則として語った20項目のマニフェストが記事となっていました。
内容はインデックス投資に限らず、全ての投資家にとっての基本と言うべき(語り尽くされた)ものですが、これだけシンプルかつ明確にまとまったものも珍しいので、以下にメモしておきます。
- I am an investor. I do not trade my assets frequently. That’s speculation, not investing.
(私は投資家です。私は自分の資産を頻繁に売買したりはしません。それは投機であり投資ではないのです。) - I am also a saver, fueling my investments with continuous savings from current income.
(私は貯蓄家でもあります。現在の収入から継続的に貯蓄し、投資資金に注入します。) - I know that every kind of asset entails risk — even cash, which can be eroded by inflation.
(私は、あらゆる種類のアセットクラスがリスクを伴うということを知っています。現金でさえインフレによって浸食される事も。) - I know that higher returns entail higher risk, in every kind of asset.
(あらゆる種類のアセットクラスにおいて、高いリターンがより大きなリスクを伴うという事を知っています。) - I accept those risks, but I mitigate them by owning a diversity of assets.
(私はそれらのリスクを受け入れます。しかし、私は資産を分散することによってリスク和らげます。) - I regard my home as a place to live, not as an investment. It is not a substitute for retirement savings.
(私は私の家を投資対象ではなく、生活の場所と考えます。それは、退職貯金の代わりでありません。) - I have an investment plan and a plan for asset allocation, in consultation with a financial adviser.(フィナンシャルアドバイザーとの協議に際し、私には投資計画と資産配分の計画があります。)
- I invest regular amounts every month, in both rising and falling markets. I know I can-not gauge market tops and bottoms. If I receive a windfall — a bonus, bequest or gift — I gradually feed it into my regular investment mix.
(私は市場が上げていても下がっていても、毎月一定額を投資します。私は、自分が相場の天井と底を予測することができないということを知っています。もし、私がボーナスや遺産、ギフトなど臨時収入を得たなら、私は徐々にそれを私の投資対象に加えます。) - I don’t pour more money into hot markets nor completely cash out of plunging markets.
(私は、加熱している市場へより多くの現金を注ぎ込みませんし、急落した市場から完全に撤退するような事はしません。) - I spread my investments among several asset classes, in a mix fitting my age and risk tolerance.
(私の年齢とリスク許容度に見合ったいくつかの資産クラスにおいて、私は投資を広げました。) - My share of bonds roughly equals my age. I will allocate to stocks a declining portion of my financial assets as I get older.
(債券の割合は、おおよそ私の年齢に等しいです。私が年をとるにつれ、私は株式比率を下げていきます。) - I rebalance my portfolio every quarter. If the stock market plunges, pushing my stock allocation way below its target percentage, I sell bonds and use my cash to buy stocks.
(私は、私のポートフォリオを四半期ごとにリバランスします。もし、目標比率以下に株式比率が落ち込むならば、私は債券を売って、株を買うために現金を使います。) - I force myself to sell high and buy low by periodic rebalancing-just what is temperamentally difficult for most investors to do.
(私は、上がった資産を売り、下がったものを買うように定期的にリバランスします。ちょうど大部分の投資家がそうするのが難しいことですが。) - I know that stocks are risky in the short run, so I hold in equities no money for which I have a likely need in the next three years.
(私は株が比較的短期においてリスキーであることを知っているので、私はこの先3年で必要になりそうなお金を株式で持ちません。) - But stocks are not too risky in the long run. They have outperformed all other commonly traded assets over periods of 15 years and longer.
(しかし、株は長い目で見ればそれほど危険ではなく、15年かそれ以上の期間においては、他の全ての一般に取引される資産クラスを上回る。) - Foreign stocks account for at least 15% of my stock allocation. I believe that developing economies will enjoy much higher growth than the U.S. in the decades ahead.
(外国株は、私の株式の配分の少なくとも15%を占めます。私は、発展途上経済が今後数十年のアメリカより、非常に高い成長を示すと思っています。) - I never borrow against my stocks. Margin calls could force me to sell good assets at a bad time.
(私は、株の信用取引をしません。追い証請求は、私に良い資産を悪いタイミングで売ることを強制するでしょう。) - I stick with my game plan. I do not check the value of my investments every day or even every week.
(私は、私の戦略からブレません。私は、毎日または毎週さえ、私の投資成績をチェックしません。) - I try to keep my cool when other folks are losing theirs.
(私は、他の人々が冷静さを失っている時も、冷静に保つようにします。) - I remind myself often: I am an investor.
(私は、しばしば思い出す:私は投資家です。)
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管理人さま
いつも有益な情報をありがとうございます。大変参考になっています。
19番目の
I try to keep my cool when other folks are losing theirs.
(私は、他の人々が損失を出している時も、冷静さを保つようにします)
の訳ですが、theirsは、their cools (my coolに対比して) を受けていると思います。ですので、損失を出しているときではなくて、「他の人々が冷静さを失っているときでも」の方が良いのではないかと思います。
いいですね、コレ。素晴らしい!
>目からうろこさん
ありがとうございます。助かります。
それにしても、細かくきちんと読んで下さっているのがとても嬉しいです。
>rennyさん
マニフェストに縛られる必要はないでしょうけど、こういう形で書き出しておくとブレなくて良いですよね。
これはいいですね。よくまとまっています。
ひょっとしたら、引用させていただくかもしれません。
そうしたくなる記事です(^^♪
素晴らしいマニフェストだと思いました。
PERMALINK: https://www.lay-up.net/archives/blog-entry-661-0906202008.html
JUGEMテーマ:ビジネス
じゅん@さんのエントリです。投資家としてのマニフェスト - 投信で手堅くlay-u…
私もよいマニュフェストだと思います。
特に17番は自分も守っていこうと思います。
ただ、16番はBRICsでさえ政治が経済に介入しやすい現状では、まだハイリスクであると考えています。
こんばんは。
・・・これすばらしいっす。近いうちTBさせていただきます(^^)。
最後の
「私は、しばしば思い出す:私は投資家です。」
が全てをまとめてくれているような気がします。ああ、それにしても格好良いです・・・(笑)。
>うさみみさん
どうぞ引用下さい(先ほどご指摘頂きましたが、訳が間違っているかもしれませんが)
>みきぱぱさん
私も新興国は好きな方ですが、こうしてそれぞれ自分のマニフェストに考えをまとめてみても面白いかもしれませんね。ブログサービスになったりして。
>田舎のKenさん
私が書いた訳ではなくて、これはあくまでKiplingerさんのマニフェストですが、こうして文章に書き出すことは良い効果があると思います(ブログに考えを書いておく事も、同じような効果がありますね)。
基礎に立ち返る。
PERMALINK: https://www.lay-up.net/archives/blog-entry-661-0906202008.html
こちらの記事を読まれて感動された方もいたのではないでしょうか。ちなみにボクは感動しました。
・・・めちゃくちゃよくまとめられてい…
はじめまして、いつも楽しくブログを拝見させていただいてます。
私はU.S.在住なのですが、本屋で見かける投資・資産運用系の雑誌の中では”Kiplinger’s Personal Finance magazine”がいちばん消費者目線で長期投資化向けのように思い、勉強もかねてちょくちょく読むようにしています。
この雑誌、Wikipediaではprides itself on delivering “sound, unbiased advice in clear, concise language”と紹介されているのですが、まさにその通り、と感じています。
投資環境や税金などの仕組みが違うのでそのまま日本に持っていっても駄目でしょうが、その考え方や編集方針をもとに日本向けに雑誌を出せたらいいんじゃないか、などと勝手に妄想したりしています。
>じゅんじゅんさん
コメントありがとうございます。
なるほど「Kiplinger’s Personal Finance magazine」はしっかりと評価されている雑誌でしたか。
歴史もあるようですし(1947創刊?!)、編集長がこれだけのマニフェストを書いているのはさすがですね。
確かに日本では無いタイプの投資雑誌に思います(日経マネーは比較的長期投資家視点だと思いますが・・・)
Manifesto of An Investor
PERMALINK: https://www.lay-up.net/archives/blog-entry-661-0906202008.html
少し前にじゅん@さんが投資家としてのマニフェストという面白い記事を紹介されていました。
戯れに私なりにマニフェってみました。
rennyさんとこから来ましたよ。
ここの20のマニフェスト、なるほどと思うところもありますが、澤上さんのお考えと異なるところは、もう一度考えたほうがいいと思います。
>私は自分の資産を頻繁に売買したりはしません
短期間で会社の価値よりも株価が高くなれば、売ってもいいと思います。
さわかみファンドも、短期間で株価が上昇して会社の価値を超えたら、
すぐに売却しています。
>私は資産を分散することによってリスク和らげます
これは、どうですかね。資産を分散するよりも、一番安いものに、
全力投資するのがいいと思います。
さわかみファンドは、日本株が一番安いということで、日本株のみに
投資しています。
>債券の割合は、おおよそ私の年齢に等しいです
ゼロ金利がこのまま続くとは思えません。債券投資をするのは、
まさしく自殺でしょう。
>外国株は、私の株式の配分の少なくとも15%を占めます
為替リスクを取ってまで投資するか、考えたほうがいいでしょう
絶対に外国株をポートフォリオに入れなければいけないという法は
ありません。
さわかみファンドでは、為替リスクをとってまで、外国株に投資していません。
世界で活躍する日本企業に投資すれば、発展途上の成長に乗ることもできるんです。
全部正しいと思わずに、一つ一つ検討をする必要があるでしょう。
それに、投資によって、社会をよくしていく視点がなければいけません。健全な社会にするために投資していくことが何よりも大事なんです。
>さわかみファンド仲間さん
おっしゃる通り、これを全部正しいと思わずに、各人が自分なりのマニフェスト(宣言)を作っていけば良いと思います。
この記事で取り上げたのは、あくまでKnight Kiplinger氏のマニフェストで、我々が考えを深める為のたたき台ですね。
投資家としてのマニフェスト
PERMALINK: https://www.lay-up.net/archives/blog-entry-661-0906202008.html
私家版を作ってみた。